白河夜船
この前友人と話してました。
色々あって読書欲がすっかりなくなったとか。
読みたいと思っていた本に急に魅力を感じなくなってしまったとか…
はいはいはい。言ってましたよ。←投げやり
積んであった本の山にワクワクしなくなったし読みたい本がなくて逆に楽になったよね気持ちが。←もはや強迫観念
だからせっかくだからしばらくは本気で心を入れ替えて家事や仕事とかちゃんとやろうって気持ちになってたんだけど、人間そんなに簡単に変われるなら随分と楽チンだ。←雲行き怪しすぎ
読もうと思ってた本を全部本棚にしまって並ぶ背表紙を眺めても食指は動かない、ほうほう中々いいことだ。今までの私ならそのまま本棚の前で本を読み耽って動けなくなるところだ。
そのまましばらく順調に本を整頓していてふと手に持ったのが吉本ばななの白河夜船。学生時代に読んだきりで少し前に実家から引き揚げてきてそのままになってたやつ。
内容なんかすっかり忘れてたし、ただ手に持っただけなのに、なんとなく本当になんとなくこれ読もうかなと思ってしまったんだ。
読み始めてすぐに、これはヤバイやつだ、これは今読んだらヤバイやつだって頭の中警告音がガンガン鳴ったね。でも読んじゃった。
天気のいい昼間だったのに、読んでる間はずっと真っ暗な真夜中だった。今更映画やドラマみたいに号泣したりはしないけれど、今の私にとってはそれなりの衝撃のある物語だった。
私の本棚はそうやって、私自身よりも私の心理に先回りして、時に私の気持ちを代弁したり、癒したり、かき乱したりするんだ。それは本当に絶妙なチョイスで、この本棚は私の無意識の意識に完全にリンクしていることを実感してしまう。
白河夜船という言葉のように、死に近付き過ぎるくらい命を削って眠ってしまうことも、命と引き換えているような異常な読書をしてしまうことも根本は同じなのかもしれない。そしてそんな異常な状態からまるで夢から覚めるようにして、ある日突然変わらない日常に戻っていくのも同じ。生きている人間の強さなのだとしたらすごいなと思う。