三島由紀夫
出張のたびに子供達の為に泊まり込んでくれる母、読む本の趣味は違うけど私の読む本を見て私の精神状態を把握しているらしい。
そんな母をギョッとさせたのがこの本。
「三島由紀夫なんか読んで、この子は大丈夫かしら」←三島に謝れ
大学生くらいならまだしも
こんなおばさんになって三島由紀夫読むとかおかしいと母は思ったらしい(笑)確かにね。←
母の分かるような分からないような偏見はさておき、三島由紀夫の作品はすごく好きだけどやっぱり読んだ後に彼の思念みたいなものが残像になって残ってしまうので、歳を取ってからの三島由紀夫はダメージが大きいと思う。ああいうのは学生のうちに読んでおくのがいいです。
この本は、三島由紀夫らしからぬハードボイルド的な、陳腐なドラマにでもなりそうなお話しでめちゃくちゃおもしろいです。彼の文才にかかればどんなお話だってぐいぐい惹きつけられる物語になる。だからこそ油断して一気に読んでしまったのだけど、やっぱり三島由紀夫だった…
吸血鬼夫人に血を抜き取られ(笑)意識を失って運ばれた病院で医者に言われる言葉に反応するところに、彼の本当の命に対する答えがあるような気がした。
当たり前の幸せを求められず、当たり前に生きられないのに生に執着する自分の滑稽さを
彼はどこか俯瞰してこの物語を書いたのでしょうか。
やっぱり三島由紀夫の思念は強烈すぎてあかん。