しろくまブックス

本のこと。嵐のこと。すきなこと。

私を離さないで

この本について書くのは何度目でしょう。
日本版のドラマが進むにしたがって原作をまた読んでみたくなったのに、なぜか本棚に見当たらず無くしたと思っていたら実家の母が読んでいた。ミステリ好きの母は「淡々としててつまらない」と言って私がこの本をどれだけ探していたかを聞いてもピンと来ないようだったけれど、ドラマの最終回だけは2人で見た。

ドラマは毎週楽しく見ることができました。
もはや別もののようにみえるそれを、丁寧に録画して一度目は「原作と随分違うな」とおもいながら、二度目は「これはこれで伝わっているのかな」と思いながら観ていました。

どちらにしてもドラマのほうは、仕方ないにしても「生命倫理」に重点を置きデストピアをよりデストピアらしくデフォルメすることで連続ドラマとしての体裁を保ち、本筋の「淡々」としてしまう主人公の語りと対比させる事でドラマの演出は満点だった。

ただし、原作主義者でないにしてもやはりクローンによる臓器提供がクローズアップされ過ぎる場面には少し違和感があった。とくに美和が最後の提供の前に言うセリフなど。まぁ確かにねそういうことなんだけどさ、でもそれ言っちゃう?みたいな。マナミのエピソードもあまりに分かりやすい形でブッ込んできた印象。欲しいよね、この場面、そりゃそうだよ。分かりやすすぎる演出は時に人の感情を一方向に固定してしまう傾向があるけれど、みんなここで泣けちゃうもんね。がっつりホールドされたよね。
他にも原作にない人物や場面がいくつかあり、うーんそうなんだけど、ドラマだし分かりやすくしなければ仕方がないのかなとおもったりもしつつ、主人公の語りが原作の抑えた抑えた感情をうまく表していて最後まで面白く見ることができた。

原作についていえば、ドラマのような感情を起伏させるようなものは一切ない。
母の言うように「淡々と」してて面白くないかもしれないけど、私は原作にある力の方が強いと思うしだからこそ世界で映画や舞台やドラマなどになっているのだと思う。

やっと手元に帰ってきたので、またじっくり読もうかな。ドラマを作った人たちの解釈も取り混ぜたらまた違った印象になるかもしれないから楽しみだ。f:id:go-go-gurumpa127:20160326193604j:image